最底辺よりも下。「プロ野球難民」が集うペコス・リーグって何だ? (2ページ目)

  • 阿佐智●文・写真 text&photo by Asa Satoshi

 そうなると今度は、そうした「強豪の独立リーグ」を目指す者を集めるリーグが、アメリカ各地で雨後の筍(たけのこ)のように、つくられては消えていった。

 なかには集客のため、還暦をとうに過ぎた元メジャーリーガーを期間限定でプレーさせ、"プロ野球最高齢記録"を毎年のように更新させるリーグもある。

 そんなリーグに足を運ぶファンは決して多くない。1試合100人も入れば上々というチームもある。そんな状態だから、シーズン中にリーグ自体が打ち切りになることなど日常茶飯事。なかには、開幕直前に解散してしまうようなリーグもある。

 ところが、そうした乱立状態のなか、もう7年も続いている弱小リーグがある。それが「ペコス・リーグ」だ。テキサス州の片田舎の地名がついたこのリーグは、テキサス、ニューメキシコの小さな町をフランチャイズとするチームで構成されている。選手、指導者ともプロ経験のない人がほとんどで、メジャー傘下のマイナーでプレーした経験があれば、たとえそれがルーキーリーグであっても、ここでは「エリート」だ。

 ただし、マイナーリーグで目立つラテン系の選手ほとんどいない。野球をお金稼ぎの手段と考える傾向が強い彼らにとって、このリーグは"出稼ぎ先"にもならないわけだ。

 週給は50ドル(約5600円)。アメリカのプロリーグでは当たり前となっているミールマネー(食事代)すら出ず、移動は各個人で行なう(ガソリン代はあとで清算されるらしい......)。こうした徹底した緊縮財政が、このリーグを存続させている。

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