「145キロの遅球投手」がサイ・ヤング賞2人と、まさかの最多勝争い (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 そしてナ・リーグの投手部門は、やはり最多勝争いが面白いことになっています。球界を代表するドジャースのクレイトン・カーショウ、アリゾナ・ダイヤモンドバックスのザック・グレインキーと並び、現在17勝でトップを競っているのがミルウォーキー・ブルワーズのザック・デイビーズです。

 現在24歳のデイビーズは2011年にオリオールズからドラフト26巡目・全体785位という下位指名でプロ入りしました。つまり、アマチュア時代は期待されるようなピッチャーではなかったのです。2015年7月にブルワーズにトレードされた際もまだメジャーデビューする前で、マイナーでの実績も決して高くはなく、9月にメジャーデビューを果たすもデイビーズへの期待度は変わらずでした。

 ところが2016年、フルシーズン1年目で突如、大化けしたのです。チーム最多の11勝(7敗)・防御率3.97をマークして関係者を大いに驚かせました。そして今シーズンも先発ローテーションの主軸として勝ち星を積み重ね、現在17勝9敗・防御率3.89というすばらしい成績を残しています。

 デイビーズはカーショウやグレインキーのように剛腕タイプのピッチャーではありません。速球はせいぜい90マイル(約145キロ)程度。メジャーのなかでは平均以下のスピードです。しかし、その速球にカットボールとチェンジアップを織り交ぜる頭脳的なピッチングが冴えており、ストライクゾーンの低めにボールを集める技術も卓越しています。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る