「145キロの遅球投手」がサイ・ヤング賞
2人と、まさかの最多勝争い

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 そのブラックモンとは対照的に、今シーズンになって急激に知名度を上げたのがロサンゼルス・ドジャースに所属する32歳のジャスティン・ターナーです。

 2006年のドラフト7巡目・全体204位でシンシナティ・レッズから指名されたターナーは、プロ入り後もしばらく目立った活躍はできませんでした。2009年にボルチモア・オリオールズでメジャーデビューを果たし、2010年のシーズン途中でニューヨ−ク・メッツにトレードされるも、最初の5年間はまったく芽が出ず。2014年にドジャースに移籍したときも、マイナー契約という扱いでした。

 当時ドジャースで二塁手を務めていたのは、現在中日ドラゴンズでプレーしているキューバ出身の新人アレックス・ゲレーロ。ターナーはゲレーロの控えという立場で加入しました。しかしそのシーズン、規定打席不足ながら打率.340をマークしたことで、チーム内での評価がグッと高まったのです。その後、三塁手としてレギュラーの座を奪取し、ようやくドジャースで居場所を見つけることができました。

 今シーズン序盤はケガで出遅れたものの、復帰後はヒットを量産して7月19日に規定打席に到達。その時点で打率.374でメジャートップに立ち、オールスターのファイナルボート「32人目の男」にも選ばれました。夏場に調子を落として現在リーグ3位の打率.323ですが、まだチャンスは十分にあります。これまで日の目を見てこなかったドジャース不動の3番バッターに今後も注目してください。

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