単打28本なのにホームラン37本。
ヘンな強打者が初タイトルを狙う

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by Getty Images

 昨シーズンとの大きな違いは、ボールをよく見るようになってフォアボールが増えた点でしょう。昨年は出塁率(.298)が低くて下位打順でしたが、今年はそれが3割5分前後まで向上したことにより、いまやオリオールズ不動の3番バッターです。現在打点トップのネルソン・クルーズ(シアトル・マリナーズ)との差は6打点。あと20試合ほど残っているので、逆転する可能性も十分にあると思います。

 一方、ア・リーグの投手部門でもっとも盛り上がっている賞レースは最多勝争いではないでしょうか。現在、6人のピッチャーがトップタイで並んでいます。クリーブランド・インディアンスのコーリー・クルーバー(16勝4敗)とトレバー・バウアー(16勝9敗)とカルロス・カラスコ(16勝6敗)、カンザスシティ・ロイヤルズのジェイソン・バルガス(16勝10敗)、ボストン・レッドソックスのクリス・セール(16勝7敗)、そしてセールの同僚のドリュー・ポメランツ(16勝5敗)です。

 クルーバーやセールは毎年のように最多勝争いを演じるエースですが、28歳のポメランツはまったく違います。今シーズン開幕前のキャンプでは先発5番手を争うほどの評価で、首脳陣の信頼度も決して高いほうではありませんでした。

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