リベラやボンズも虜に。日本人トレーナーの先駆者が見たMLBの裏側 (5ページ目)

  • 杉浦大介●写真・文 text & photo by Sugiura Daisuke

――他に、身体を触ってみて凄いなと感じた選手はいますか? 

「私が見たのはキャリア晩年だったんですが、リッキー・ヘンダーソンはそうでしたね。あとは、最近ではホセ・レイエスなんかもそうです。大事なのは本来持っている筋肉の柔らかさと、バランスのよさ。そういう選手たちはメジャーでも長持ちするんです」

――アメリカと日本人選手との、身体の特徴の差はどこにありますか? 

「下半身の力に関しては、こちらの選手よりも日本人の方が強いと思います。日本人選手は例外なく走り込んでいるし、量が違います。一方、アメリカ人は背筋力が強いですね」

――ひと頃、日本人投手は利き腕のケガが多いという話が話題になったことがありました。原因として考えられることはありますか? 

「子供の頃から投げすぎていることの蓄積でしょう。日本は無理させますからね。いいフォームを身につけて、投げすぎないようにすれば故障しないはずです。一方で、アメリカの選手は投げなさすぎなので、その間くらいがちょうどいいんです(笑)」 

――日米両方のベースボールを見てきた西尾さんから見て、プロになってからの身体の調整方法の違いをどこに感じますか? 

「メジャーの選手は、自分のプログラムをしっかりと持っていますね。マイナー時代から積み重ねた経験から、自分のやるべきことをわかっている。メジャーに上がった後、トレーナーやストレングスコーチから『これをやれ』と言われはしますが、選手たちはそれを自分で噛み砕いて、やりたいことをやっていますよ。常に模索を続けているとは思いますが、メジャーに辿り着く頃には自分のやり方がほぼ固まっているはずです。

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