リベラやボンズも虜に。日本人トレーナーの先駆者が見たMLBの裏側 (4ページ目)

  • 杉浦大介●写真・文 text & photo by Sugiura Daisuke

――スター選手たちに自身のマッサージが好まれた理由をどう考えますか? 

「簡単に言えば、当時、マッサージというのはセラピー(治療)ではなかったんですよ。こちらのマッサージはリラックスするためのものでしたが、私のマッサージは確実にセラピーなんです。まったく別物だったから、みんな驚いたんでしょうね。『これはすごいな』と、いろんな選手が僕を気に入ってくれるようになって、バリー・ボンズやマーク・マグワイアもよくマッサージしました。マグワイアとは、今でも親しくしています」

――2013年のオールスターゲームでは、マリアーノ・リベラにもマッサージを行なったと聞きました。

「ニューヨークのシティフィールドで行なわれたオールスターでは、『両リーグを見てくれ』と言われていたんですが、ナ・リーグにはカルロス・ベルトラン、ジョーイ・ボットといった馴染みの選手がいて、かなり忙しかったんです。ブライス・ハーパーもマッサージを喜んでくれて、バットにサインしてプレゼントしてくれたりとか。『ハーパーっていいやつだな』と思いましたね。

それで、ようやくア・リーグを見に行ったら、リベラがトレーニングルームにぽつんと座っていたんです。『私にできることはありますか?』と声をかけ、マッサージをやることになったんですよ。リベラはすごく喜んでくれて、一緒に写真を撮って、マッサージテーブルに"背番号42を最後につけた男"とサインまでしてくれた。あの年限りで引退したので、彼にとって最後のオールスターであり、私にとって最初で最後のリベラとの触れ合い。忘れられない思い出になりました。リベラは長いキャリアを送れたことも納得できるような、いい筋肉をしていたことも印象に残っています」

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