ジーターは新生マーリンズに「44歳イチロー」の居場所をつくるのか (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 また、スタントンほどではないものの、イチローの来季の契約にも注目が集まっている。昨季オフに1年200万ドル(約2億600万円)でマーリンズと再契約を交わしたが、2018年の契約は追加オプションとなっており、球団の判断に任されている。イチローを高く評価している現オーナーのジェフリー・ローリアはまもなくチームを去ることになるため、10月に44歳を迎えるMLB最年長野手のオプションがピックアップされるかどうかは定かではない。

 今季のイチローは、6月中旬まで打率が2割にも満たなかったが、オールスター以降は打率.307(39打数12安打)と復調。代打ではメジャートップの20安打を放ち、適応能力の高さをあらためて印象づけている。1995年にロッキーズのジョン・バンダーウォールがマークした、代打でのシーズン最多安打記録(28本)への到達も不可能ではなく、依然としてメジャーでチームに貢献できる力を保っている。

 外野の3つのポジションを守ることができる点も、大きなプラス評価になるだろう。また、メッツとの3連戦でも代打で登場するたびに敵地のファンから大歓声を浴びていたように、知名度や人気は健在。不人気球団のマーリンズが、あと1年はそのスター性の恩恵に預かろうとしても不思議はない。

 ただ、今のイチローはチームにとって"不可欠な選手"には見えない。今季の長打率.313は一昨年に次ぐ自己ワースト2位。代打で出ても相手に「怖さ」や「いやらしさ」を感じさせる打者ではないため、マーリンズがイチローとは違うタイプの控え選手を欲しがる可能性はある。新体制に移行するなら、現役最年長野手を手放し、よりフレッシュな陣容に変えるのが自然な流れなのかもしれない。

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