故障者リスト入りは吉兆か。シーズン終盤に田中将大の価値は上昇する (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 今季はここまで23試合で8勝10敗、防御率4.92。今までのキャリアで最も苦しいシーズンを送る田中にとって、DL入りは新たな試練になるかと思われた。しかし、その点についてメジャーのある強豪チームのスカウトに尋ねると、「あくまで右肩が厳しい状態ではないとして」と前置きした上で、「今回の離脱は、むしろプラスになるかもしれない」と語った。

「ふつう先発投手はシーズンを通して働けないことを悔しく感じるものだが、田中のような経験豊かな投手の場合は、1、2度の登板スキップが心身両面でポジティブに作用することもある。疲れが溜まると、どうしても細かな制球が乱れてくる。少し休ませることで、腕だけでなく身体全体に力が戻るだろう。ブレイクを挟む時期としては、疲れが出はじめる8月中旬は適している」

 このコメントの中でポイントになるのは、「細かな制球」という部分だ。

 今季の田中の成績は確かにキャリアワーストだが、防御率が示すほどにピッチング内容が悪いという印象はない。9イニングあたり平均9.5奪三振(メジャー19位)、2.2四球(同13位)はまずまず。相手打者の空振り率に至っては、コリー・クルーバー(インディアンス)、マックス・シャーザー(ナショナルズ)、クリス・セール(レッドソックス)といったスーパーエースたちに次ぐ4位。5位のクレイトン・カーショウ(ドジャース)を上回る高い数字となっている。

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