青木宣親は「負け組」じゃない!メジャーリーグ夏のトレード総決算 (6ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 ア・リーグ中地区で首位を独走するアストロズから、ア・リーグ東地区で最下位のブルージェイズへ。その状況だけを見れば、がっかりした方も多いかもしれません。しかし、このトレードは決して悪い話ばかりではないと思います。

 なぜブルージェイズは青木選手を獲得したのか――。それは、チームとして明確なビジョンがあったからです。

 ブルージェイズの本拠地ロジャースセンターは、メジャーでふたつしかない人工芝の球場です。人工芝は打球が速く走るので、スピードのあるチームが攻撃面では有利となります。そんな本拠地球場の特性を活かすために、ブルージェイズはスピードのあるコンタクトヒッターを求めていました。

 そんなときに夏のトレードで急浮上してきたのが、アストロズでプレーしている青木選手です。彼のようにスピードがあって、かつ打球を転がすのが上手なバッターは、まさに本拠地ロジャースセンターの特性にピッタリ。ブルージェイズはフランシスコ・リリアーノを放出し、青木選手を手に入れました。

 もちろんブルージェイズに移籍しても、外野の選手層が厚いのはアストロズと同じです。ライトは2010年、2011年と2年続けて本塁打王に輝いたホセ・バティスタ、センターにはリーグ屈指の名手ケビン・ミラー。このふたりは外野で不動の存在です。レフトも強打者のスティーブ・ピアースや俊足のエセキエル・カレーラなどポジション争いが激しく、青木選手の出場機会は限られるでしょう。

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