あの元ヤクルト助っ人が、監督としてメジャーに注入したニッポン野球 (2ページ目)

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton
  • photo by Getty Images

 監督として迎えた初めての春季キャンプで、ロブロはかつて日本で練習してきたプレーを選手たちにさせた。その成果は、早くもシーズン中に発揮された。

 4月27日、本拠地でのサンディエゴ・パドレス戦。ダイヤモンドバックスが4-1とリードして迎えた5回表。一死一塁で、打席には相手投手が入った。確実に走者を進める犠打の場面だったが、バントは小フライとなってしまう。一塁手のポール・ゴールドシュミットが猛然とダッシュしてきた。そのとき、アメリカではあまり見かけないプレーが起きたのだ。

 ゴールドシュミットは捕球すると見せかけ、とっさにグラブを引っ込めた。ボールがフェアグラウンドに落ちると、ゴールドシュミットはすぐさまボールを捕り、一塁ベースカバーに入っていた二塁手にボールを投げ、まず1アウトを取った。そして、この状況にランナーは混乱したのか、慌てて二塁に向かおうとしたが、塁間の半分ぐらいのところで遊撃手にタッチされ、ダブルプレーが成立した。

 これで勢いに乗ったダイヤモンドバックスは、その後もパドレスの攻撃をしのぎ、試合をものにした。このプレーについて、ロブロは次のように説明する。

「ヤクルトで練習したプレーのうちのひとつでした。アメリカではこういったプレーについて話はするのですが、実際、練習することはほとんどありません。私が日本で学んだことは、練習はプレーのレベルを確実に引き上げるということです。だからキャンプ中、こういったプレーをただ話すだけではなく、実際に練習することにしたんです。ここでは言えませんが、ほかにもいろんなプレーを練習してきました。常識的なプレーであっても、練習するのとしないのとでは違います。実際にそういった状況に直面したときに、驚かず対処できるんです。練習することの大切さも日本で学んだことのひとつでした」

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