オールスター史上初。10年前の「イチロー伝説」を覚えているか? (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by Getty Images

 さて、話を2007年のオールスターゲームに戻しましょう。大勢の報道関係者が質問を終えたあと、僕はイチロー選手にこう尋ねました。「さすがのイチロー選手もオールスターゲームでは結果が出ませんね」。イチロー選手のオールスターゲームでの成績は、6試合で15打数3安打・打率2割ジャスト。この質問にはさすがにムッとされたようで、お返事はいただけませんでした。

 ただ、その質問を投げかけた理由は、過去にもイチロー選手のようなスーパースターがオールスターゲームで結果を残せなかった例があったからです。その人物とは、メジャー通算3053安打を記録した「往年の安打製造器」ロッド・カルー。首位打者のタイトルを7度も獲得し、1977年には驚異の打率.388をマークしてア・リーグMVPに輝いた名選手です。くしくも先日の7月6日、イチロー選手がセントルイス・カージナル戦で2安打を放ち、カルーの持つ通算安打記録を抜きました。

 そのカルーは18年連続でオールスターゲームに選出されたのですが、球宴での通算成績は打率.244、41打数10安打で0本塁打・2打点。そのことが脳裏にあったので、ついイチロー選手に厳しい質問を投げてしまったわけです。天才打者イチローといえども、超一流選手の集まるオールスターゲームでは活躍できないのか......と。ただ、その考えは翌日、大きく覆されることになりました。

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