MLBスカウトが分析。田中将大はメッタ打ちスランプから脱出したか (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

──最大の武器であるスプリッターはどうでした? 

「スライダーで早々に追い込む場面が多く、おかげでスプリッターも効果的になっていた。一方で、カウント2−0、3−2といった苦しい状況でもスプリッターを投げていた。この日はスプリッターの制球だけでなく、威力にも自信が持てていたということだろう」

──ゲームを通じて、どの球もよかったのでしょうか?

「ゲーム終盤には、真っ直ぐが序盤ほど信用できなくなっていたが、変化球がよかったがために問題はなかった。5、6回以降、特に走者を出した際には、速球はあまり使わず、スライダー、スプリッターに頼っていた。13奪三振のうち、9個はスライダーで、4個はスプリッターで奪ったもの。メカニクスが改善されたことで投球がアグレッシブになり、自信を持って強打者相手に向かうことができていた」 

──この日の投球には、かなり高い評価を与えているようですね。

「ゲーム開始直後はストライクゾーンの低めに速球をしっかりと投げ、スライダー、スプリッターは1試合を通じてよかった。私が見た中でも最高級のピッチングだった。採点するならAプラス。右肘に不安があるのではないかという懸念の声を吹き飛ばすと同時に、田中にはメジャーで先発ローテーションのトップを務める能力があることをあらためて証明した。『ワオ!』と言いたくなるような素晴らしい投球だった」

──今後に不調を引きずる可能性はありませんか?

「打者がスランプを経験するのと同じように、ピッチャーも調子が落ちることはある。クレイトン・カーショウ(ドジャース)、マックス・シャーザー(ナショナルズ)のような大エースだってそれは同じだ。しかし、いい投手というのは2、3試合で態勢を立て直すことができるものだ」 

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る