バーランダーが火つけ役。MLBは「高めのフォーシーム」が新トレンド (5ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 レイズが他球団と違う指示をするようになった背景にあるのは、投手陣の苦しい台所事情だけが理由ではありません。進化してきたバッターへの対抗策としても有効だと判断されるようになったからです。

 近年メジャーで活躍するバッターたちは、低めのボールを打つ技術を格段に進歩させました。日本と比べてローボールヒッターの多いメジャーですが、ツーシームなど低めに落とす球種が全盛となってきたため、それらを上手にさばくバッターが増えてきたのです。事実、低めのボールをホームランにする確率は急増しており、低めだけで相手バッターを打ち取るのは年々難しくなってきました。

 そこで、高めのストレートを織り交ぜることによって、少しでもバッターに的を絞らせないようにしたのです。特に内角高めのストレートはスピードガンの球速よりも速く感じさせる効果があり、それと同時にスプリットやシンカーなどの低めの変化球も打ちづらくなったというデータも出てきました。

 2015年のスタットキャスト導入以来、徐々に「高めのフォーシーム」を投球スタイルに盛り込むピッチャーは増えています。メジャーのピッチャーがどのようにそれを活用しているか、新たなトレンドとしてチェックしてみるのも面白いと思います。

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プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

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