かつては松井秀喜も。MLBに見る「2番スラッガー起用」の歴史 (4ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 近年も、2015年はブルージェイズのジョシュ・ドナルドソンが2番バッターとして41本塁打・123打点をマークし、ア・リーグMVPと打点王を獲得。2016年はシカゴ・カブスで2番を務めたクリス・ブライアントが39本塁打・102打点と大活躍し、108年ぶりの世界一に貢献してナ・リーグMVPに輝きました。

 その流れは今年も変わりません。ヤンキースは昨年8月のメジャー再昇格後2ヵ月間で20本塁打を打った話題のゲイリー・サンチェスを開幕2番に起用し、韓国球界から5年ぶりにメジャー復帰するやいなや4月に球団新記録となる月間11本塁打をマークしたミルウォーキー・ブルワーズのエリック・テイムズも2番バッターです。

 なぜ、こんなにも2番に強打者を揃えるスタイルが広がったのか――。その理由は、やはりセイバーメトリクスが背景にあります。データを統計学的な見地から分析し、それをもとに戦略を考える手法が当たり前のようになったからでしょう。

 セイバーメトリクスによると、2番バッターは3番バッターより年平均で18打席ほど多くバッターボックスに立つそうです。また、過去10年間の統計を見ると、2番バッターがアウトとなって試合が終了するケースは全体の11.7%で、年間約19試合が3番バッターに回らずに試合が終わっていました。そのようなデータもひとつの要因となって、2番バッターの重要性が改めて高まってきたのでしょう。

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