かつては松井秀喜も。MLBに見る「2番スラッガー起用」の歴史 (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 このように強打者を2番に起用した過去の例では、さまざまな理由がありました。ただ、同時に2000年代前半くらいから「2番バッターの重要性」が見直されてきたのも事実です。1番バッターが塁に出れば送りバントで進めるといった2番のイメージは、このころから徐々に変化していきました。

 その流れを決定づけたのは、2013年のロサンゼルス・エンゼルスです。球界屈指の名将マーク・ソーシアが生み出したのは、「2番マイク・トラウト、3番アルバート・プホルス」。2012年に新人王を受賞したトラウトと、カージナルス時代に3度のMVPに輝いたプホルスを、2番・3番コンビに据えたのです。すると、この衝撃的な起用が大当たり。結果、他球団もこぞってその流れにならいました。

 ヤンキースはリーグ屈指のスラッガーに成長したロビンソン・カノ、ボルチモア・オリオールズは若手有望株のマニー・マチャド、トロント・ブルージェイズは2年連続本塁打王のホセ・バティスタ、シンシナティ・レッズは2010年ナ・リーグMVPのジョーイ・ボット、ミネソタ・ツインズは首位打者に3度輝いたジョー・マウアー、デトロイト・タイガースはシルバースラッガー2度受賞のトリー・ハンター、ロサンゼルス・ドジャースはキューバから亡命して旋風を巻き起こしたヤシエル・プイグ、アトランタ・ブレーブスは長打力と俊足がウリのジェイソン・ヘイワード、そしてワシントン・ナショナルズは次世代のスター候補ブライス・ハーパー......。強打者を2番に起用するスタイルが2013年を機に一気に広まりました。

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