MLBスカウトが見たイチロー。「控えでの起用がチームと本人のため」 (4ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 これらの特徴、長所は、過去数年を通じて言われてきたことでもある。つまり、「控えの切り札」的な存在として起用されてきた力を、イチローはまだ保っているということだろう。そして、このベテランスカウトは、特にマーリンズ移籍以降にささやかれてきたイチロー起用の留意点についても繰り返している。

「もちろん全盛期とは比べるべくもないが、イチローはまだメジャーリーグのチームをピンポイントで助けられるだろう。ただ、重要なのは必要以上の負荷をかけて彼を疲弊させないこと。キャリアの現時点では、出番を限定することが本人のためにもなる」

 イチローは常に力を出せるコンディションを心がけているはずだが、40代も半ばに近づき、体力の衰えが進むのは当然のこと。マーリンズからケガ人が出た一昨年、あるいは昨夏以降のように、セミレギュラー的な起用になれば徐々にパフォーマンスが落ちるのも仕方ない。打率.229に終わった2015年くらいまで成績が落ち込むようなことがあれば、チームにとって大打撃。同時にイチローの来年以降の契約も怪しくなる。

 マーリンズの主力外野手が万全で、好調を保てば、イチローの当面の仕事は限られる。ファンにとっては少々寂しいが、長い目で見れば、そのほうがチーム、本人の両方にとってベターだということなのだろう。

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