MLBスカウトが見たイチロー。「控えでの起用がチームと本人のため」 (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 これに関し、ビジターでのメッツとの3戦を終えた時点で、あるチームの大ベテランスカウト(マーリンズと対戦する強豪チームに属しているため、所属球団や名前は伏せる)に意見を求めてみた。獲得した選手の中には殿堂入りプレーヤーも含まれており、米国球界でも一目置かれる存在のそのスカウトに、ゲーム前の練習中から動きを見てもらい、率直な話を聞かせてもらった。

「あまりにもサンプルは少ないが、イチローは力を残しているように見える。彼に関していいのは、現状での自身の力を認識して、できることをやろうとしていること。打席では強振せずに、とにかくゴロを転がして何かを起こそうとする。守備もまだ複数のポジションを標準以上の力で守ることができる。それらの長所を活かせば、特に終盤イニングには役立つ存在になるのではないか」

 やや粗っぽい選手が多いマーリンズの中で、イチローの繊細なプレーと巧みな打撃は確かに依然として武器になりそうだ。走者がほしい場面、バットに当ててほしい状況などでは厄介な選手。また、実際に外野のどのポジションでも務まるだけに、レギュラーのひとりを休ませる際には実に有用な存在と言える。

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