敬遠にドラマは必要なし。ルール改正にドライなメジャーリーグの発想 (4ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 そして、試合時間の短縮とともに重要視されているのは、「投高打低の傾向を是正するため」のルール改正です。過去にはマウンドの高さを変え、その傾向を是正したこともあります。

 1960年代のメジャーは投高打低の時代でした。特に1968年はセントルイス・カージナルスのエースだったボブ・ギブソンが防御率1.12をマークし、ア・リーグで首位打者に輝いた選手の打率がぎりぎり3割(.301)と、圧倒的にピッチャーが強い状況でした。そこで1969年から、マウンドの高さを従来の15インチから10インチに低くしたのです。それにより、バッターは多少なりとも打ちやすい環境となりました。

 また同時に、投高打低の傾向を是正するため、1969年にはストライクゾーンも変更されています。これには、審判の装備の変化が大きく影響していました。

 1960年代から1970年代にかけて、ア・リーグは「ハイボール・リーグ」、ナ・リーグは「ローボール・リーグ」と呼ばれていました。その理由は、ナ・リーグの審判が衣服の下にプロテクターを装着する「インサイド・プロテクター」を導入したからです。それによって審判は上体を低く構えることが可能となり、ストライクゾーン低めのボールもしっかりとジャッジできるようになりました。つまり、ナ・リーグでは低めの球もストライクとコールする傾向が増えたので、「ローボール・リーグ」と呼ばれていたのです。

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