敬遠にドラマは必要なし。ルール改正にドライなメジャーリーグの発想 (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 その時間内においてチームは迅速に攻守交代を行ない、コマーシャルが終わるとすぐプレーできる状態にしなければなりません。たとえば、日本ではバッターの登場曲をけっこう長めに流しますが、メジャーではこれも制限しています。試合のスピードアップ化を図るため、バッターの登場曲は1小節ほどで、わずか数秒しか流しません。それぐらいシビアに時間短縮が求められているのです。

 また、投手の交代時においても、昔と今とではルールが変わりました。1970年代ごろまではブルペンからマウンドまで電気自動車(ブルペンバギー)でリリーフ投手を運んでいましたが、今は外野のプルペンからみんな走ってきます。これも時間短縮の一環で、登場演出も変更を余儀なくされました。

 そして2015年、マンフレッド・コミッショナーがもうひとつ行なったのは、バッターボックスに関するルール改正です。その内容とは、ランナーが塁にいないときにバッターは、投球と投球の間にどちらかの足をバッターボックスに残さないとルール違反としました。バッターボックスから離れてスイングするなど、試合時間が長くなるようなプレーを禁止したのです。

 そのような流れがあり、今シーズンから敬遠の申告制が導入となりました。日本では反対意見が多く叫ばれていますが、アメリカでは「敬遠のフォアボールは時間の無駄」という考えが少数派ではありません。あるピッチャーなどは、「4球も投げるのはもったいないから、初球をバッターにぶつければ済む」と言っていました。そう発言するぐらい、わざわざ4球も投げるのは無駄という考え方なのです。

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