カブス108年ぶり世界一の裏に、凄腕フロント「5ヵ年計画」があった (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by Getty Images

 ただ、レッドソックスとカブスとでは、チーム再建の道のりが違います。エプスタインがGMに就任した当時のレッドソックスは、毎年ニューヨーク・ヤンキースと地区優勝争いをするほどの選手層でした。ア・リーグの強豪チームのひとつとして、すでにレッドソックスの土台はしっかりしていたのです。

 一方、低迷していたカブスの戦力は、お世辞にも充実しているとは言えません。よってカブスが再建のために動いた戦略のひとつは、下位チームに与えられるドラフト優先権を積極的に行使し、若手有望株をファームで育てることでした。2011年はドラフト1巡目・全体9位でハビアー・バエズ、2013年はドラフト1巡目・全体2位でクリス・ブライアント、そして2014年はドラフト1巡目・全体4位でカイル・シュワーバーを指名し、今年のプレーオフで大活躍した若手たちを次々と獲得していったのです。

 そして2014年12月、悲願のワールドシリーズ制覇に向けて、最後のピースがついに埋まります。それは、ジョー・マドン監督の招聘。2度のア・リーグ最優秀監督に選ばれたことのある、メジャー有数の名将です。2008年にタンパベイ・レイズを初のリーグ優勝に導き、在籍9年間で4度のプレーオフ進出を果たした監督を迎え入れることに成功しました。

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