カブス108年ぶり世界一の裏に、凄腕フロント「5ヵ年計画」があった (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by Getty Images

 そしてもうひとり、カブスの選手育成担当責任者として迎え入れたのが、ジェイソン・マクリードという人物です。マクリードはかつてヒューストン・アストロズのマイナー選手だったのですが、現役引退後はパドレスでマイナーコーチやスカウトなどを歴任していました。そして2009年12月からホイヤーのもとでパドレスのGM補佐を務め、今度はカブス復権のために引き抜かれたのです。

 カブスの首脳陣となった当時、エプスタインとホイヤーは37歳、そしてマクリードは39歳。彼ら若くて優秀な幹部3人を中心に、カブスは再建への道をスタートさせました。

 その第一歩となったのが、アンソニー・リゾの獲得でしょう。リゾは2007年、エプスタインがレッドソックスのGMだった時代にドラフト6巡目・全体204位でプロ入りした選手でした。その後、リゾは2011年にトレードで移籍したパドレスでメジャーデビュー。前述の幹部3人はアマチュア時代からリゾの存在を知っており、彼をカブスの将来の中心選手とするべく、2012年1月に当時22歳の若手有望株をトレードで獲得したのです。

 しかしながら、優秀な人物がフロント入りしたといっても、すぐに結果が出たわけではありません。新体制1年目の2012年は61勝101敗。2013年は66勝96敗。2014年は73勝89敗。徐々に成績は上がっているとはいえ、2010年から5年続けてナ・リーグ中地区5位に終わりました。

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