自己最速で11勝目。データが語る岩隈久志「4色の変化球」効果 (4ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 岩隈投手は現在35歳。ストレートの球速が落ちてくるのと同時に、新たなスタイルへの変化も必要となってきたのでしょう。また昨年オフ、ロサンゼルス・ドジャースと契約合意しながらメディカルチェックで引っかかって破談となったことも、それに関係しているのかもしれません。故障のリスクを少しでも軽減させるための変化、とも見て取れます。

 その変化によって生じたのかは判断しかねますが、こんな気になるデータもありました。岩隈投手はもともと、ボールを低めに集めてゴロで打ち取る典型的なグラウンドボールピッチャーでした。しかし今シーズンのデータを見てみると、フライボールピッチャーになっているのです。

 昨シーズン、岩隈投手のフライアウトとゴロアウトの比率は、1個のフライアウトに対して1.46個のゴロアウトでした。ところが今シーズンは、1個のフライアウトに対して0.84個のゴロアウトと、その比率が逆転しているのです。逆転した要因はさまざまあるので 一概には言えないのですが、もしかすると球種の割合の変化も関係しているのかもしれません。

 ともあれ、今シーズンの岩隈投手はかつてないほど順調です。豪速球時代に逆行するかのごとく、遅い球で勝ち星を挙げている稀(まれ)なケースといえるでしょう。このペースで投げていけば、シーズン200イニングも達成できそうです。それを成し遂げたときには、2014年の15勝を越える自己最多勝利数もクリアしているのではないでしょうか。シーズ ン後半戦、進化した岩隈投手から目が離せません。

プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

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