自己最速で11勝目。データが語る岩隈久志「4色の変化球」効果 (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 近年のメジャーはご存知のとおり、年々ピッチャーのストレートの速度は上がっています。先発もリリーフも、速いボールでバッターを圧倒してゲームを支配するのが、メジャーで成功するカギと言われています。そんななか、岩隈投手のようなタイプは現代のメジャーにおいて異質です。

 2012年にマリナーズに入団した当初、岩隈投手の球速はもう少しありました。2012年のストレートの平均速度は90.3マイル(約145.2キロ)。140キロ台後半のストレートを投げていたのです。しかし、今シーズンのストレート平均速度はなんと87.8マイル(約141.2キロ)。メジャーのピッチャーの平均速度が92.9マイル(約149.4キロ)なので、ざっと時速8キロほどのスピード差があります。

 また、ストレートの速度低下に伴い、岩隈投手の投球スタイルも変化してきました。これまでの岩隈投手は145キロ前後のストレートと、伝家の宝刀のスプリッターやスライダーを組み合わせるのが主な内容でした。しかし今シーズンになって、スプリッターやスライダーの割合が減っているのです。スプリットは28.4%(2014年)から 18.8%(2016年)、スライダーも20.4%(2014年)から17.4%(2016年)。いずれも投げる割合が少なくなっています。

 では、逆に何が増えているのか――。それは、カッターとカーブです。昨年から投げ始めたとされるカッターは8.9%、そしてカーブは3.2%(2014年)から8.6%(2016年)に増加。以前と比べて今シーズンは、さまざまな球種の変化球を組み合わせたピッチングへと変更したように感じます。

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