MLB後半戦、エース田中将大が直面する「2つのハードル」 (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 そして、もうひとつ変化した点は、「投球プレートの立ち位置」です。今シーズンの田中投手は2年連続で開幕投手に指名されながらも、なかなか勝ち星に恵まれませんでした。4月17日に岩隈久志投手と投げあったシアトル・マリナーズ戦で今季初勝利を挙げたものの、その後1ヶ月以上勝ち星なし。特に5月10日のカンザスシティ・ロイヤルズ戦と、続く15日のシカゴ・ホワイトソックス戦では、2試合で合計12イニングを投げて15安打・10失点と、かなり打ち込まれました。

 そこで田中投手は、5月21日のオークランド・アスレチックス戦から投球プレートに立つ位置を、三塁側から一塁側に変更したのです。アメリカでは一般的に、右投げの場合はパワーピッチャーが三塁側の投球プレートを踏み、ムービングボール主体のピッチャーは一塁側に立ちます。そのほうがバッターに対し、ボールの威力・変化がより効果的に見えるからです。

 田中投手の場合は一塁側に立つように変えたことで、シンカーなどのムービングボールが鋭く沈んで見えるようになりました。その結果、アスレチックス戦では7イニングを投げてわずか1失点。実に34日ぶりに勝ち星を挙げることができたのです。本人も「以前より制球が安定し、ボールのキレもよくなった」と満足した様子で、それ以降も一塁側の投球プレートに立ち、徐々に調子を取り戻しました。

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