MLB後半戦、エース田中将大が直面する「2つのハードル」 (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 だからといって、田中投手の球威・球速が落ちているというわけではありません。いざというピンチのときは、90マイル(約144.8キロ)前後のツーシームではなく、93~94マイル(約149.6~151.2キロ)のフォーシームを投げて相手バッターを押し切るケースもありました。今シーズンもっとも速いフォーシームは96マイル(約154.4キロ)を記録しているので、田中投手の球速はまったく衰えていません。

 投球スタイルを変えた理由は、2014年の夏に痛めた右ひじの負担を少しでも軽くし、故障を再発させないためでしょう。球速を抑えたツーシームを多く投げるようになったのは、監督や首脳陣、ピッチングコーチなどと相談したうえでの方針転換だと思います。

  その結果、今シーズンの田中投手は内野ゴロが非常に増えました。前半戦のデータを見てみると、内野ゴロでアウトを奪った数はア・リーグ6位の143個。内野ゴロでアウトを取った比率も、メジャー全体が平均45%に対し、田中投手は57%。内野ゴロの割合が多いのが見て取れます。

 また、ホームランを打たれる割合も減りました。昨シーズンは24試合の先発で25本のホームランを打たれていましたが、今シーズンは前半戦18試合の先発で10本。これらの変化は、微妙にボールを動かすツーシームを多投するようになった結果だと思います。

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