速球より遅球。データでわかる、ダルビッシュ完全復活へのカギ (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu  photo by Getty Images

 そして復帰2戦目のシアトル・マリナーズ戦では、メジャー自己最速タイの99マイル(約159.2キロ)のストレートも投げました。トミー・ジョン手術からの復帰を見定めるうえで、ストレートの球速は重要な要素のひとつです。この部分に関しては、復活の条件をクリアしているとみていいでしょう。

 ふたつ目に挙げたい要素は、「スライダー」です。この球種は、ダルビッシュ投手にとってメジャーにおける最大の武器。スライダーのキレが戻っているかどうかも、完全復活へのカギとなります。

 2008年以降のメジャーリーグの球種別データを紐解いてみると、先発ピッチャー全員のなかでダルビッシュ投手のスライダーは、メジャー5位の「被打率.140」という記録を残しています。通算500打数以上の球種が対象となっており、ダルビッシュ投手がスライダーを投げた737打数のうち、打たれたヒットは103本。名だたるスラッガー相手に、圧倒的な威力を発揮しているのです。

 復帰した最初の2試合を振り返ってみると、スライダーを投じて打たれたのは、10打数でわずか1安打。スライダー自体のスピードも増しており、手術前は平均81マイル(約130.3キロ)だった球速が、復帰後の試合では86マイル(約138.3キロ)という数字も出していました。このスライダーにおいても、手術前と遜色ない威力を取り戻していると思います。

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