球団史上初のFA選手獲得ゼロ。ヤンキースはケチになったのか? (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu  photo by Getty Images

 また、好都合なことにハーパーは、子どものころからヤンキースファン。「史上最高のスイッチヒッター」と称されるミッキー・マントルに憧れてメジャーリーガーになりました。まさに相思相愛の関係なので、ハーパーがピンストライプのユニフォームを着る可能性は大きいと思います。

 そのためにも今、必要なのは、ハーパー獲得にかかる莫大な資金です。昨シーズン、ヤンキースのチーム年棒総額はメジャー2位の約2億1900万ドル(約245億6900万円)でした。それが今シーズンを終えると、年俸2250万ドル(約25億2400万円)のマーク・テシェイラとの契約と、年俸1500万ドル(約16億8200万円)のカルロス・ベルトランとの契約が切れます。そして2017年のオフには、年俸2500万ドル(約28億円)のCC・サバシアと、年俸2000万ドル(約22億4300万円)のアレックス・ロドリゲスの年俸も払わなくてよくなるのです。

 FA選手獲得のために資金を投入せず、現在抱えている高年俸選手の契約が満了すれば、ヤンキースの人件費はかなり余裕が出てきます。長期的なスパンで戦略を立てた結果、これらの資金をハーパー獲得に回そうと考えているのでしょう。

 ただ、FA選手を獲得しなかった理由のもうひとつは、「チームの若返り」もあると思います。それは近年、FA選手と大型契約を結んで大金を費やしても勝てない――という傾向があるからです。

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