MLB若手有望株。
これがマエケンと新人王を争うライバルだ

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu  photo by AFLO

 マッツの武器は、左腕から放たれる最速97マイル(約156キロ)のシンカーです。この球種を軸にカーブやチェンジアップを織り交ぜ、メジャーの並み居るバッターから凡打の山を築きました。今シーズンも新人王の資格を有するので、前田投手にとって大きなライバルとなるでしょう。

 そしてもうひとり、ナ・リーグ新人王の有力候補として注目されているのが、ピッツバーグ・パイレーツに所属するタイラー・グラスノー(22歳)という先発右腕です。父は陸上十種競技の元選手で、母は元体操選手というスポーツ一家。しかしプロ入りしたのは、2011年のドラフト5巡目・全体152位という低い順位で指名されました。

 その理由は、高校時代までのグラスノーは身長が低く、あまり注目されていなかったからです。しかしその後、急激に身長を伸ばした今は203センチもあり、長身から投げ下ろす剛速球はたちまち関係者の間で話題となりました。

 マイナーリーグで4年間プレーし、通算防御率は2.07。グラスノーがすごいのは、計383イニング3分の1を投げて、なんと501個もの三振を奪っている点です。メジャーが求める本格派の「奪三振ピッチャー」なので、今シーズン早々にメジャーに昇格してくるのではないでしょうか。メディアの評価では、「ふたケタ勝利・200奪三振も可能」と言われています。さきほど紹介したマッツと並んで、ナ・リーグで新人王を争う前田投手の最大のライバルとなるでしょう。

 いよいよキャンプが始まり、若手の熾烈なポジション争いがスタートします。紹介した5人は今シーズン、メジャーでブレイクすること必至なので、ぜひとも覚えておいてください。

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プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

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