投げるだけじゃない。メジャーが評価する前田健太の「多彩なウリ」 (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu  photo by AFLO

 もちろん、ひじの故障の原因がすべてフォークやスプリットにあるわけではないのですが、それらの球種に頼っていないという前田投手のスタイルは、メジャー関係者に好印象を持たれています。アメリカでは、故障をせずにシーズン1年間をコンスタントに投げることを高く評価するからです。

 あと、前田のウリとして見逃せないのは、インターバルの短い「投球リズム」です。メジャーに挑戦してきた日本人ピッチャーは総じて投球間のインターバルが長く、特に松坂大輔投手はそれをよく指摘されていました。しかし、前田投手の投球リズムは実にテンポがよく、メジャーの捕手に好まれるスタイルです。バッテリーとよい関係を築くのも、新天地において非常に大事なこと。あまり目立たない部分ですが、これも前田投手がメジャーで勝負する上で大きなメリットになると思います。

 ピッチング以外でも、前田投手は多彩な武器を持っています。まずはピッチャーとしての守備能力。広島時代、前田投手はゴールデングラブ賞を8年間で5度受賞しており、特にバント処理には定評があります。ランナーに対する牽制もうまく、すばやいモーションで相手の動きを止める動きは球界随一。前田投手がプレーするナ・リーグはスピードを重視するチームが多く、バントや盗塁を積極的に活用してきます。前田投手の高い守備力は、メジャーで非常に重宝されることでしょう。

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