イチローの天敵も、幻の完全試合男も。去りゆくメジャーの名選手 (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu  photo by AFLO

 個人的に一番の思い出は、2002年にアリゾナでの春季キャンプに訪れたときの出来事です。オープン戦をスタンドで観戦していると、すぐ近くでハドソンとジートが観ていたのです。せっかくの機会なのでそのふたりに加わって、ビールを飲みながら一緒に観戦しました。とても懐かしい思い出です。

 そのふたりが9月26日、オークランドで行なわれたアスレチックス対ジャイアンツ戦で、ともに先発のマウンドに立ちました。2000年代前半のアスレチックス黄金期を率いた元同僚対決に、スタンドは大盛り上がり。素晴らしい演出のおかげで、現役生活に別れを告げる最高の舞台になったと思います。

 次に紹介したいのは、今年7月で40歳になったトリー・ハンターです。1993年にドラフト1巡目(全体10位)でミネソタ・ツインズから指名を受けたハンターは、1997年にメジャーデビューを果たすと、1999年には「メジャー屈指のセンター」として名を馳せました。2001年から9年連続でゴールドグラブ賞を受賞し、確固たる地位を築いたのです。

 時を同じくして、イチロー選手も2001年から10年連続でゴールドグラブ賞に輝いたのはご存知のとおり。当時のオールスターでセンターにハンター、ライトにイチローという光景は定番でした。

 そのオールスターで印象的だったのは、2002年です。初回にバリー・ボンズがホームランになりそうな打球を放ちましたが、センターのハンターがフェンス際でジャンプして見事にキャッチ。ライトを守っていたイチロー選手がビックリした表情を浮かべていたのを覚えています。外野の守備で数々のビッグプレーを見せることから、ハンターは「スパイダーマン」と呼ばれていました。

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