MLB総括。岩隈久志のノーヒッターを生んだ「まさかのデータ」

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu  photo by AFLO

 しかも面白いのは、この試合で岩隈投手が投げたストライクゾーンへの投球率は、自己最低のわずか41%だった点です(MLB全体平均は64.3%/2014年)。それにもかかわらず、オリオールズ打線から7個もの三振を奪いました。ノーヒットノーランを達成できたのは、ボール球を振らせる頭脳的な投球が冴えていたから、とも言えるでしょう。

【第2位】 ヒューストン・アストロズの大躍進

 2011年から106敗、107敗、111敗と、3年続けて球団ワースト記録を更新したヒューストン・アストロズ。2014年は70勝92敗と少しは立て直したものの、大きく負け越していることには変わりありませんでした。過去4年間の平均負け数は104。今シーズンも開幕前の下馬評では、下位低迷が予想されていました。

 ところがフタを開けてみれば、メジャー屈指のパワーとスピードを兼ね備えた攻撃で、たちまちア・リーグ西地区のトップを快走したのです。シーズン終盤にテキサス・レンジャーズに抜かれたものの、86勝76敗で西地区2位となり、ワイルドカードでプレーオフにも出場しました。

 ワイルドカードゲームでは、田中将大投手から3点を奪って名門ニューヨーク・ヤンキースを撃破。さらにディビジョンシリーズでも、カンザスシティ・ロイヤルズを大いに苦しめたのです。アストロズのような長年低迷していたチームがいきなり大躍進するのも、メジャーリーグの魅力だと思います。

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