今季ナンバー1の出世頭。カブスの29歳右腕に全米騒然! (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu  photo by AFLO

 また、オールスター後の成績はメジャー史上1位の防御率0.80。さらに8月以降のデータを見てみると、なんと防御率0.44という驚異的な数字です。11試合の先発登板で82イニング3分の1を投げて、自責点はたったの4点。ちなみにアリエッタに次ぐ数字を残しているのは、カーショウの防御率1.36。これも素晴らしい成績なのですが、アリエッタの活躍はそれすら霞(かす)むような快進撃だと言えるでしょう。

 いまやアリエッタは、メジャーリーグで「最高のピッチャー」と評されています。しかし実は2年前まで、彼は「二流のピッチャー」と呼ばれていました。

 テキサス州で育ったアリエッタは、2007年に地元の大学からドラフト5巡目(全体159位)でボルチモア・オリオールズに入団。荒削りながら若手有望株として期待され、2010年には念願のメジャーデビュー。2011年には先発ローテーション入りも果たし、初のふたケタ勝利(10勝8敗)もマークしました。

 ところが2012年、アリエッタは防御率6点台と伸び悩み、勝ち星も3勝(9敗)どまり。当時のメジャー関係者は、「2012年シーズンに先発した投手のなかで最低クラス」とアリエッタを酷評しました。その結果、2013年はマイナーに降格し、3Aでくすぶる日々を過ごします。アリエッタは当時を振り返り、「野球を辞めようかと思った」というほどでした。

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