イチローは残留か移籍か。マーリンズに迫るタイムリミット

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu  photo by AFLO

 オールスター前後になると、プレーオフ進出を目指すチームはシーズン後半戦に向けて戦力補強に動き始めます。特にイチロー選手のような俊足巧打のベテランは、補強の対象として大きな注目を集めるでしょう。なぜならばシーズン後半戦、優勝を争う大事な試合になれば、とくかく1点を獲るためにバントや盗塁、そしてヒットエンドランやスクイズなどの小技を多用し、守りを固めて逃げ切る戦法を選ぶからです。そういう傾向から、イチロー選手のようなタイプは地区優勝やワイルドカードを争う上位チームのほうが、より持ち味が生かされると思います。

 過去の例を振り返れば、似たような成功ケースは数多く見つけることができます。代表的な例でいえば、史上最高の1番バッターと称される「世界の盗塁王」こと、リッキー・ヘンダーソンの軌跡です。彼は全盛期、主にオークランド・アスレチックスで活躍していましたが、晩年になると様々なチームを渡り歩くようになりました。

 メジャー18年目となった1996年は、サンディエゴ・パドレスに移籍して地区優勝に貢献。さらに翌年は、低迷するパドレスからアナハイム(現ロサンゼルス)・エンゼルスに引き抜かれ、地区優勝争いを演じました。さらに1999年、移籍先のニューヨーク・メッツでワイルドカード進出に貢献すると、翌年にはシーズン途中にシアトル・マリナーズへと渡り、再びチームをワイルドカードに導いたのです。いずれも、ヘンダーソンはプレーオフ進出に貢献するために、次々と移籍を繰り返していきました。

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