41歳のベテラン大活躍。「ミラクル・メッツ」再現なるか?

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu  photo by AFLO

 この粘り強いバッティングは、数字にも表れています。今シーズン、カブスのバッターが相手ピッチャーに投げさせた球数は、1打席あたり3.98個。これは、ナ・リーグで最も多い数字です。「今年は粘りの野球をやろう」という方向性がチーム全体で統一されているからでしょう。

 さらにカブスの攻撃は、走塁面でも変わってきました。本拠地リグレー・フィールドは球場が狭く、ホームランが非常に出やすいため、カブスは伝統的にスピードよりパワーを重視する野球スタイルでした。しかし今シーズン、チーム合計30盗塁は現在リーグ2位。軽視されがちだったスピードを見直し、機動力を大いに生かしているのです。

 また、投手陣の変化も見逃せません。フォアボール1個に対し、奪った三振の数は3.23個。この比率は、ナ・リーグ3位の数字です。これまでも三振を奪える投手は多かったものの、フォアボールで自滅するケースが目立っていました。しかし今年は、実に安定したピッチングを披露します。

 これらの変貌はすべて、マドン新監督の指導の賜物でしょう。投打ともに戦い方が大きく変わり、着実に低迷チームから脱出しようとしています。マドン監督率いる今年のカブスは要チェックです。

 一方、ナ・リーグでスタートダッシュに失敗したのは、東地区のワシントン・ナショナルズだと思います。昨年はナ・リーグ最高の勝率.593をマークし、2位に17ゲーム差をつける圧倒的な強さで地区優勝。メジャー最高の先発投手陣を擁し、さらに元サイ・ヤング賞投手のマット・シャーザーを加えた今シーズンは、東地区を独走するだろうと誰もが思っていました。

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