野茂英雄、メジャーデビュー20周年。5月2日を振り返る (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu  photo by Getty Images

 すると、選手会のドナルド・フェア専務理事は、「オープン戦に出場した選手は、たとえマイナーリーグの選手であってもスト破りとみなす」と警告。ストライキが解除されてメジャーが再開しても、選手会から出場停止を含めた制裁が科せられる可能性を示したのです。マイナー契約して渡米した野茂投手は、投げたくても投げられないという微妙な立場でした。

 しかしその後、ニューヨーク連邦地方裁判所の介入によって事態は進展。3月31日、プロスポーツ史上最長となる232日にも及んだストライキは解除され、当初の予定より3週間ほど遅れた4月25日、ついに1995年シーズンのメジャーリーグが開幕したのです。そして、晴れてドジャースの一員として開幕を迎えた野茂投手の初登板は5月2日、敵地キャンドルスティック・パークでのサンフランシスコ・ジャイアンツ戦に決まりました。

 迎えた試合当日、NHKは野茂投手のメジャーデビュー戦を衛星放送でライブ中継することになりました。今では当たり前となったライブ中継も、当時は画期的なことだったのです。

 1987年7月、衛星放送を試験的にスタートさせたNHKは、スポーツ番組の目玉としてメジャーリーグ中継を放送することにしました。スタート当初は1週間に5試合ほど放送されましたが、それらはすべて録画中継。僕自身も解説陣のひとりとしてお世話になりました。いつも午後1時にNHKに入り、現地から送られてきた試合の映像をチェックしたあと、夕方から収録するというスケジュールです。また、当時の試合は完全中継ではなく、2時間ほどに短縮したダイジェスト映像でした。

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