岩隈久志所属のマリナーズがぐんぐん評価を上げている!

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu  photo by AFLO

 しかし、今オフの補強で2015年シーズンは、1番のオースティン・ジャクソン(打率.256・4本塁打・47打点・20盗塁)から始まり、2番は新加入のルジアーノとスミスがツープラトンで起用され、3番にカノ、4番に待望の大砲クルーズ、そして5番にシーガーという、まさに世界一を狙えるまでの強力なラインナップが完成しました。長年の課題だった「打線の強化」を、ついに克服できたのではないでしょうか。

 一方、投手陣はエースのフェリックス・ヘルナンデス(15勝6敗・防御率2.14)と岩隈投手の2枚看板がいるので、大きく崩れる心配はないでしょう。昨年メジャー2位(ア・リーグ1位)のチーム防御率3.17をマークした投手陣に新戦力のハップを加え、あとは先発4番手以降のポジションを争う若手の成長次第。ジェームス・パクストン(26歳/6勝4敗・防御率3.04)、ロエニス・エリアス(26歳/10勝12敗・防御率3.85)、タイフアン・ウォーカー(22歳/2勝3敗・防御率2.61)らが伸びてくれば問題ありません。そしてクローザーには、昨年セーブ王に輝いたフェルナンド・ロドニー(1勝6敗48セーブ・防御率2.85)がいます。ロドニーの成長も、マリナーズの評価を高めている理由のひとつでしょう。

 ここ最近のア・リーグ西地区は、年々レベルが上がっています。昨年メジャー唯一の勝率6割台を残して5年ぶりに地区優勝したロサンゼルス・エンゼルス、シーズン終盤に失速したものの2012年・2013年と2年続けて西地区を制したオークランド・アスレチックス、2010年から2013年まで毎年90勝以上をマークしたテキサス・レンジャーズ、そして昨年3年連続最下位から脱出して勢いに乗るヒューストン・アストロズ――。マリナーズの所属するア・リーグ西地区の他チームは、いずれも侮れない相手ばかりです。

 そんな熾烈な地区の中で、特にマリナーズの評価が急上昇していることは、すごいことだと思います。1977年の球団創設以来、マリナーズは一度もワールドシリーズに出場したことがありません。メジャー30球団の中でワールドシリーズ未経験チームは、マリナーズとワシントン・ナショナルズの2球団のみ。アメリカでは、「今年こそマリナーズが初のワールドシリーズ出場か」と話題になっています。シアトル市民の長年の夢が、ついに実現するかもしれません。

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