2014年総括。メジャーリーグを揺るがした5つの衝撃 (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by AFLO

【第3位】 カンザスシティ・ロイヤルズ、ポストシーズンで快進撃

 ヤンキースやレッドソックスといった名門が低迷した一方、久しぶりに大躍進を見せたのが、ア・リーグ中地区のカンザスシティ・ロイヤルズでした。1985年以来29年ぶりのプレイオフ進出を果たし、そしてリーグ優勝も成し遂げたのです。

 特に驚いたのは、やはりポストシーズンでの快進撃でしょう。アスレチックスとのワイルドカードゲームでは8回裏まで3対7と、4点のリードを許していました。しかし、残り6個のアウトでシーズンが終了する状況で、ロイヤルズは脅威の粘りを見せたのです。まず、9回に青木宣親選手が犠牲フライを放って同点にすると、延長12回には逆転サヨナラヒットで劇的な勝利を収めました。

 その後も、ディビションシリーズでロサンゼルス・エンゼルスを3連勝で下すと、リーグチャンピオンシップシリーズはボルチモア・オリオールズ相手に4連勝。プレイオフを無傷の8連勝で勝ち進み、ワールドシリーズ進出を果たしたのです。ワールドシリーズでは敗退したものの、ポストシーズン新記録となる8連勝の勝ちっぷりは、実に見ごたえがありました。

 今季、30球団で最もホームラン数が少なく、「20本塁打・75打点以上」を挙げた選手がひとりもいない中での快進撃――。このような軽量打線でポストシーズンに駒を進めたチームは、過去を振り返ると、1938年のシカゴ・カブスと、1965年のロサンゼルス・ドジャースの2チームしかいません。まさに、今のメジャーで新たな傾向となりつつある「スモールベースボール」を体現した、ロイヤルズの勝利と言えるでしょう。そういう意味でも、ワイルドカードゲームでのアスレチックス戦で青木選手が放った同点犠牲フライは、今年を象徴するシーンではないでしょうか。

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