トレード打診殺到の岩隈久志。しかし動けない事情とは? (4ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by AFLO

 そしてもうひとり、日本人メジャーリーガーの移籍に関して気になるのは、シアトル・マリナーズの岩隈久志投手(15勝9敗・防御率3.52)ではないでしょうか。岩隈投手は年俸700万ドル(約8億2000万円)で来季の契約を更新していますが、今オフは他球団からトレードの申し込みが殺到していると報じられています。最近では、レッドソックスの主砲ヨエニス・セスペデスとトレード……という具体的な話も挙がっていました。

 たしかに、マリナーズのチーム事情を見てみると、打率.260・22本塁打・100打点をマークしたセスペデスを欲しがる理由も分かります。ロビンソン・カノが加わって攻撃力はアップしたものの、マリナーズの投高打低の傾向は改善されませんでした。ア・リーグ1位のチーム防御率3.17を残す一方、チーム打率.244はア・リーグ15チーム中14位。一番ひどかったのは、指名打者(DH)の成績です。打率.191、出塁率.270、長打率.307、すべてリーグ最下位という成績でした。

 この数字からも明らかな通り、今オフの補強ポイントは、3番のカノと5番のカイル・シーガーの間を打つ強打者のDH(兼一塁手)獲得です。本拠地セーフコ・フィールドは外野が広くてホームランが出にくいため、マリナーズは投手力と守備で勝つ野球を目指し、今年はポストシーズン進出にあと一歩まで迫りました。しかし、あまりにも貧打なため、大事な場面でゲームを落としてしまったのです。数年前には外野フェンスを手前に持ってくるなど、得点力が上がるように画策したものの、その効果はいまだ表れていません。来シーズン、プレイオフ進出を狙うのなら、強打者の獲得は必須でしょう。

 ただ、マリナーズはリーグ1位の防御率をマークしたものの、先発陣が磐石かといえば、そうでもありません。今年の最優秀防御率(2.14)に輝いたエースのフェリックス・ヘルナンデスと、2年連続14勝以上を挙げている岩隈投手の先発2枚看板は、来シーズンも間違いなく活躍するでしょう。しかし、彼らふたり以外の先発陣には不安が残ります。

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