トレード打診殺到の岩隈久志。しかし動けない事情とは? (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by AFLO

 今シーズン、3本柱に続く先発を務めていたのは、かつてフロリダ(現マイアミ)・マーリンズやボストン・レッドソックスのエースとして活躍し、今年5月にはノーヒットノーランを達成したジョシュ・ベケットでした。しかし、6勝6敗に終わったベケットは、10月7日に現役引退を発表。実績のあるベテラン先発ピッチチャーを失うことになったのです。

 そのため今オフ、ドジャースは先発投手陣の底上げを図るべく、さっそく動きました。そこで目をつけたのが、ヤンキースからFAとなった黒田投手です。ドジャースが提示したとされる年俸1500万ドル(約17億7000万円)は、来年40歳となる先発4番手としては破格の金額。ただ、それほど黒田投手は高く評価されているということでしょう。

 そしてもうひとつ、黒田投手の移籍先として有力視されているチームがあります。それは、ドジャースと同じ街に本拠地を置く、ロサンゼルス・エンゼルスです。今シーズンのエンゼルスは5年ぶりにア・リーグ西地区を制し、メジャーで唯一勝率6割以上をマークしました。しかし、こちらもドジャースと同じく、先発投手陣に不安を抱えているのです。

 エンゼルスの先発陣を見てみると、今年18勝(9敗)を挙げて自身2度目の最多勝に輝いたジェレッド・ウィーバーを筆頭に、13勝4敗のギャレット・リチャーズ、13勝10敗のC・J・ウィルソン、そしてルーキーながら16勝(4敗)をマークしたマット・シューメーカーと、一見、駒は揃っているように思えます。ただ、ウィーバーをのぞく3人は、今シーズン200イニング以上投げていないため、来年もシーズンを通して活躍できるのかが不安材料と言えます。

 その点、黒田投手は今季199イニングを投げており、過去5年間の平均投球回数も約204イニングと、非常にタフなピッチャーです。先発ローテーションを補強するには、まさにうってつけの存在でしょう。

2 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る