イチローの移籍先は新代理人と縁深いあのチーム? (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by AFLO

 現有戦力で来シーズンを戦うなら、レフトはセス・スミス(打率.266・12本塁打・48打点・1盗塁)、センターはキャメロン・メイビン(打率.235・1本塁打・15打点・4盗塁)、ライトはウィル・ベナブル(打率.224・8本塁打・33打点・11盗塁)という外野陣で挑むことになります。今シーズンの成績を見るかぎり、規定打席不足ながらイチロー選手(打率.284・1本塁打・22打点・15盗塁)が彼らに劣っているとは思えません。

 また、環境面でもパドレスはオススメです。サンディエゴは1年中温暖な気候に恵まれていて、年間300日ほどが晴天。アメリカ人の誰もが住みたい町に挙げるほどです。さらにパドレスのキャンプ地は、アリゾナ州のピオリア。この地は、イチロー選手がマリナーズ時代に12年間慣れ親しんだキャンプ地と同じ場所なんです。そして本拠地ペトコ・パークは外野が広いので、イチロー選手のスピード・守備を発揮するには最適と言えるでしょう。

 このように挙げても分かるとおり、イチロー選手が移籍するならば、パドレスがベストだと思います。現在の戦力、チームの環境、そして新代理人とのパイプ……。まさに、すべてが今のイチロー選手にピッタリ合っていると思います。

 今シーズン、パドレスは77勝85敗でナ・リーグ西地区3位という成績でポストシーズン進出を逃しました。ただ、投手力は良いのです。チーム防御率3.27はナ・リーグ2位。打力さえアップすれば、今年のカンザスシティ・ロイヤルズのように、シンデレラチームに生まれ変わる可能性は十分にあります。

 メジャー生活14年間でイチロー選手が残してきた成績だけでも、将来の殿堂入りは間違いないでしょう。しかし、イチロー選手はワールドチャンピオンに輝くことと、メジャー通算3000安打には、こだわっていると思います。

 近年のワールドシリーズ進出チームを見ても分かるとおり、たとえ大物選手がいなくても、投手力と守備、そして機動力を武器にしたチームが結果を残しています。このメジャーの傾向からすれば、パドレスがワールドシリーズまで駒を進めても不思議ではありません。

 そして現在、メジャーで通算2844安打をマークしているイチロー選手は、通算3000安打にあと156本まで迫っています。もしパドレスに移籍すれば、クリアできる可能性はグッと高くなるでしょう。メジャー史上28人しか成し遂げていない「3000本安打クラブ」に、ぜひともイチロー選手に加わってもらいたい。移籍市場は刻々と変わっていきますが、今の段階ではパドレスがイチロー選手にとって一番魅力的なチームだと思います。

プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

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