イチローの移籍先は新代理人と縁深いあのチーム? (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by AFLO

 では、イチロー選手が移籍するならどのチームが最適なのか、私なりに検討してみました。すると――。

 他のチームの戦力事情などを見比べたとき、浮上してくるのは、イチロー選手の新しい代理人、ジョン・ボッグスの存在です。2001年のシアトル・マリナーズ入団から14年間、イチロー選手はトニー・アタナシオに代理人業を依頼していましたが、今オフからボッグスと新たなに契約しました。

 ボッグスという人物は1983年からエージェント業をはじめ、多くの選手を抱えている腕利きの代理人です。その中でも一番有名な選手は、今年54歳の若さで亡くなったトニー・グウィンでしょう。1982年のメジャーデビューからサンディエゴ・パドレスひと筋で20年間プレイし、首位打者8回、通算3141安打を記録した安打製造器です。

 契約している現役選手の中では、ロサンゼルス・ドジャースのエイドリアン・ゴンザレス(打率.276・27本塁打・116打点)が有名でしょう。サンディエゴ出身のゴンザレスは、2000年のドラフト全体1位指名でフロリダ(現マイアミ)・マーリンズに入団し、2006年から5年間、地元パドレスでプレイしていました。投手では、フィラデルフィア・フィリーズのエース、コール・ハメルズ(9勝9敗・防御率2.46)が有名です。2006年からフィリーズひと筋でプレイしている一流メジャーリーガーですが、ハメルズもサンディエゴ出身選手。ボッグスは多くの選手の代理人を務めていますが、契約している選手のリストを改めて見てみると、サンディエゴに縁(ゆかり)のあるプレイヤーが多いのです。

 そのサンディエゴを本拠地とするパドレスは、今シーズン、ずっと貧打に悩んでいました。打率2割6分以上、100安打以上をマークしたのは、ふたりだけ。その結果、チームの打撃成績は、打率.226、出塁率.292、長打率.342、535得点、1199安打......、いずれもメジャー30球団で最低の数字でした。

 特にひどかったのが、1番・2番バッターです。1番バッターに合計8選手を起用して、平均打率.241、平均出塁率.292は30球団中29位。71得点は29位タイ、17盗塁は24位タイと、誰も1番バッターとしての役割を果たしていませんでした。また、2番バッターは合計12選手を起用し、打率.231(28位)、出塁率.281(28位)、76得点(26位タイ)と、こちらも散々の出来。まったく固定することができず、シーズンを終えることになりました。

 今オフのパドレスの補強ポイントは、間違いなく攻撃力のアップです。その中でも、スピードのある攻撃が必要とされています。2004年にオープンした本拠地ペトコ・パークは、外野が広くて本塁打が出にくいため、パドレスはスピード重視の野球を目指しました。しかし、結果が伴っていないのが現状です。今シーズンもチーム盗塁数91個は、ナ・リーグ15球団中9位。決して良いとは言えません。

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