メジャーGMミーティングで噂になった日本人選手たち (2ページ目)

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 米球界からFAとなった選手に話を移せば、イチロー、黒田博樹、青木宣親らの交渉はまだ始まったばかり。青木の代理人を務めるネズ・バレロ氏が「サッカーならキックオフ」と例えたように、現在は球団と代理人がお互いの交渉意思を確認した段階だ。条件提示にも至っておらず、本格的な交渉はまさにこれから。契約締結までには少なくとも1カ月、長引けば2カ月半を要するであろう。

 さて、今回のGMミーティングで、ある球団のスカウトの言葉に考えさせられることがあった。当然ながら彼は、日本球団の保有権、選手が持ち得る権利、日米間のルールを理解しており、スカウトとしてというより、野球界に携(たずさ)わるひとりの人間としての言葉だった。

「彼はもう33歳か。メジャーへの挑戦は許されないのか? 選手としてのプライム・タイム(最盛期)には限りがある。あれだけの能力を持っているのにもったいない」

 スカウトが言った彼とは、オリックスの糸井嘉男のことだ。糸井が海外FAの権利を取得できるのは早くても2017年。その時点で糸井は37歳になっている。

 野茂英雄が初めて海を渡ってから来年で20年になる。海外FA権やポスティング・システムの確立など、選手の夢が叶いやすい時代になったが、限りある選手生命は変わるわけもない。最良の答えを見つけられない問題にスカウトとともにため息をついた。

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