負けないロイヤルズ。青木宣親が語る「強さの秘密」 (2ページ目)

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • photo by Getty Images

 だが、今のロイヤルズの本当の強みはここからだ。打席内で冷静にこの動きを見ていたのが、4番打者のエリック・ホズマーだ。

「我々の機動力を警戒しているからだろうけど、打者からすればそうした動きをすると一、二塁間はがら空きになる。その上で、かなりの確率でストレート系の球が来る。大きな穴が広がっている一、二塁間に打つことだけを考えていたよ」

 その言葉通り、ホズマーは一死一塁からチェンのストレート系のボールを打つと、打球は一、二塁間を破るライト前ヒット。一塁走者のダイソンが三塁まで進み、一死一、三塁とチャンスを広げた。そして5番のビリー・バトラーがしっかりと犠牲フライを放ち、ロイヤルズが勝ち越しに成功した。

 策におぼれたオリオールズに対し、ロイヤルズは個々がやるべき仕事を果たした。その結果が4連勝につながったのだ。青木は言う。

「プレイオフに入って、主軸が最低でも進塁打みたいな感じで、仕事をしっかりやってくれる。そうやってくれると、チームとしてすごくいい方向に回るようになる。ここに来て、チーム力が上がっているのを感じています。本当に強いですよ」

 決して勢いだけではない確かな手応え。1985年以来、29年ぶりとなるロイヤルズのワールドシリーズ制覇はあるのか。

 過去、ア・リーグチャンピオンシップにおいて4連勝を飾ったのは1988年、1990年のアスレチックスと、2006年、2012年のタイガースの計4回あるが、いずれもワールドシリーズでは敗れている。今回、ロイヤルズがその呪縛を解くときがやって来たのかもしれない。

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