ナ・リーグ屈指の常勝軍団同士。4度目の対決はいかに? (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by AFLO

 そんなカージナルスにとって、今回のシリーズで有利に働きそうなのが、ホームフィールドアドバンテージを得たことでしょう。なぜならば、今シーズンのレギュラーシーズンでカージナルスは、ホームでリーグ最多タイの51勝(30敗)を挙げているからです。まさかディビジョンシリーズで、ナ・リーグ勝率1位のナショナルズと2位のドジャースがともに負けるとは思いませんでした。このアドバンテージは非常に大きいです。

 ここ最近の成績を見ても、ポストシーズンの2試合も含めて、カージナルスはホームで14勝2敗と圧倒的な強さを発揮しています。過去3度のLCシリーズでの対戦成績を見ると、ジャイアンツの本拠地(1987年=キャンドルスティック・パーク、2002年=パシフィック・ベル・パーク、2012年=AT&Tパーク)では通算3勝7敗と大きく負け越しているので、ホームで最大4試合を戦えることは有利だと思います。

 また、今回のカードを占う上で、ゲーム終盤におけるカージナルスの驚異的な爆発力も見逃せません。ディビジョンシリーズでのドジャース戦を振り返ると、1回から6回までは3得点に対して11失点。しかし7回以降は、なんと15得点・4失点という勝負強さを発揮しているのです。今シーズンのカージナルスは終盤に追い上げる勝ちパターンが多いので、それは大きな自信になっているでしょう。

 その爆発力の起点になっているのが、相手の左投手に対する左打者の活躍です。ディビジョンシリーズでは、1番のマット・カーペンター(打率.272・8本塁打・59打点)をはじめ、中軸を務めるマット・アダムス(打率.288・15本塁打・68打点)、そして下位打線のコルテン・ウォン(打率.249・12本塁打・42打点)、ジョン・ジェイ(打率.303・3本塁打・46打点)という4人の左打者が、左投手に対して合計38打数14安打・5本塁打・13打点と大暴れしました。彼らの活躍がLCシリーズ進出を決めたと言っても過言ではありません。

※カッコ内の数字はレギュラーシーズン終了時の成績

 中でも注目すべきは、マット・カーペンターです。決してホームランバッターではないのですが、アルバート・プホルス(現ロサンゼルス・エンゼルス)以来となる球団史上ふたり目のポストシーズン3試合連続ホームランを記録しました。しかも、クレイトン・カーショウ(21勝3敗・防御率1.77)、J・P・ハウエル(3勝3敗・防御率2.39)、そして柳賢振(14勝7敗・防御率3.38)と、相手の左腕から次々とホームランを打っているのです。

 ジャイアンツのエースは、25歳の若き左腕、マディソン・バムガーナー(18勝10敗・防御率2.98)。今回のシリーズは彼を中心にローテーションを回すことでしょうから、左腕のバムガーナーを打ち崩すことができるかどうか、カージナルスの左打者に注目です。

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