青木宣親のロイヤルズは、「ミラクル」を起こせるか? (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by AFLO

 フィネガンは今年のドラフト1巡目全体17位で指名されたルーキーで、4ヶ月前の6月にはカレッジ・ワールドシリーズ(全米大学野球選手権)で投げていました。そんな彼が、9月に早くもメジャーデビューを果たすと、プレイオフの出場メンバーにも大抜擢。そして、ロサンゼルス・エンゼルスとのディビジョンシリーズ第2戦で登板して白星を挙げ、球団のポストシーズン最年少勝利記録を更新しました。リリーフ陣全体も好調で、ディビジョンシリーズ3試合での成績は、2勝0敗・防御率0.75。合計12イニングでヒットわずか4本・1失点・12奪三振と、完全にエンゼルス打線を封じていました。

 そしてもうひとつ、両チームの共通する部分は、鉄壁の守備です。オリオールズとロイヤルズには、昨年のゴールドグラブ賞受賞者がともに3人ずつ在籍しています。まずオリオールズは、サードのマニー・マチャド(打率.278・12本塁打・32打点/ケガでプレイオフには出場せず)、ショートのJ・J・ハーディ(打率.268・9本塁打・52打点)、センターのアダム・ジョーンズ(打率.281・29本塁打・96打点)を擁しており、彼ら以外の選手もゴールドグラブ賞レベル。今シーズンのオリオールズは、メジャー全体で最も守備力が高いと言われています。

 対するロイヤルズは、キャッチャーのサルバドール・ペレス(打率.260・17本塁打・70打点)、ファーストのエリック・ホズマー(打率.270・9本塁打・58打点)、レフトのアレックス・ゴードン(打率.266・19本塁打・74打点)が昨年のゴールドグラブ賞受賞者で、特に外野陣はリーグ最強の守備との評判。レフトのゴードンを筆頭に、センターのロレンゾ・ケイン(打率.301・5本塁打・53打点)、ライトの青木宣親選手(打率.285・1本塁打・43打点)、さらに守備固め要員のジャロッド・ダイソン(打率.269・1本塁打・24打点)が並ぶ鉄壁の外野陣は、ディビジョンシリーズでも大絶賛されていました。

 オリオールズもロイヤルズも、守備力で勝ち上がってきたと言っても過言ではありません。見ていてワクワクするほどのダイナミックな守備は、ぜひとも必見です。

 オリオールズがロイヤルズに勝つためには、ホームランの量産がカギを握っていると思います。プレイオフでは本領を発揮しづらいと思っていましたが、ディビジョンシリーズ3試合で4本のホームラン。中でも注目は、今年の本塁打王に輝いた4番のネルソン・クルーズ(打率.271・40本塁打・108打点)です。ディビジョンシリーズ第1戦では初回にいきなり先制ツーランを放ち、第3戦でも0-0の均衡を破るツーランで勝負を決めました。ディビジョンシリーズ3試合の成績は、打率.500・2本塁打・5打点。圧倒的な存在感で、デトロイト・タイガースを粉砕しました。クルーズはポストシーズン通算でも37試合で16本塁打・32打点・25長打と、無類の勝負強さを発揮しています。重量打線の主軸を務めるクルーズが大暴れすれば、ワールドシリーズ進出はグッと近づくことでしょう。

 レギュラーシーズンでのロイヤルズ投手陣は、ア・リーグで3番目に少ない128本塁打しか打たれていないほど優秀です。しかし、ポストシーズンではワイルドカードゲームを含めて4試合で6本のホームランを許しました。オリオールズの本拠地はホームランの出やすい球場なので、ロイヤルズの投手陣をいかに攻略できるかどうかが、今シリーズの肝になるのではないでしょうか。

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