屈辱の14年目。それでもイチローがポジティブなワケ (2ページ目)

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • photo by Getty Images

 しかし、来季どこのユニフォームを着ているかという点では、「限りなくピンストライプ(ヤンキース)を着ている可能性は低い」と言われており、DH制がなく、攻守交代の多いナ・リーグでのプレイになるのでは、という声が多い。

 現地時間9月29日、ヤンキースタジアムでジョー・ジラルディ監督のシーズン総括会見が開かれた。そこで指揮官は来季について、「今年は35歳を超える選手がロースターに4、5人いたが、同じことが来季起こるとは思えない」と語り、チームの若返りを示唆した。あらためてヤンキース残留の可能性の低さを感じさせたが、ある球団関係者は「イチローもそれを望んでいるのはないか」と話す。

 次なる目標であるメジャー3000安打まで残り156安打。レギュラー争いができるチームに移り、その勝負に勝てば、来季中の達成は十分に可能だ。それは、イチローの言葉にも表れていると感じた。

「去年の最後は、半信半疑で何とかいい形になっていたかなと思っていたんですけど、今年は最後まで自信を持ってグラウンドに立っている自分がずっといたのでね。そういうことなのかな」

 凝り固まった固定概念を覆(くつがえ)し、常に新しい境地を切り開いてきたイチロー。自身2度目のフリーエージェントとなる今オフも激しいトレーニングを続けながら、ポジティブにオファーを待つ。

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