リーグ最強のエンゼルスを破るカギは「青木宣親」にアリ (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by AFLO

 このカードの行方を占うならば、4年連続7度目の地区優勝を果たしたタイガースが一歩有利、という感じでしょうか。なぜならばタイガースには、ジャスティン・バーランダー(15勝12敗・防御率4.54)、マックス・シャーザー(18勝5敗・防御率3.15)、そしてデビッド・プライス(15勝12敗・防御率3.26)という3人のサイ・ヤング賞投手がいるからです。この3人が短期決戦で次々と先発することを思うと、オリオールズは大いに頭を悩ますことでしょう。

 対するオリオールズの武器は、メジャートップのホームラン数(211本)を誇る重量打線です。今年の本塁打王に輝いたネルソン・クルーズ(打率.271・40本塁打・108打点)や、アダム・ジョーンズ(打率.281・29本塁打・96打点)といったリーグ屈指のスラッガーを擁しています。

 ただ逆に、チームの盗塁数はメジャーで最も少ない44個。つまり、オリオールズは一発攻勢でゲームを制してきたチームなのです。こういうタイプのチームは、なかなか短期決戦で実力を発揮しづらいと思います。プレイオフに進出してくるチームは、総じて高いレベルの投手を揃えているからです。よって、レギュラーシーズンと同じようにホームランを連発するのは難しいでしょう。

 しかし、オリオールズに勝ち目がない、というわけではありません。タイガースに勝つチャンスは、ゲーム終盤にあると思います。というのも、タイガースは先発投手陣に比べて、リリーフに弱点があるからです。タイガースのリリーフ陣のポストシーズン成績を見てみると、2011年は防御率8.01、2012年は防御率3.90、2013年は防御率4.07。そして今年のレギュラーシーズンでも、7回以降の防御率は4.28と決して良くありません。

 タイガースは超強力な先発3本柱を擁していますが、オリオールズにも十分に付け入る隙はあります。できるだけ早く先発陣を引きずり下ろし、ゲーム終盤での反撃が勝利のカギとなるでしょう。

 ア・リーグ最多勝利を記録したエンゼルスに、青木宣親のロイヤルズがどう挑むのか――。
 タイガースのサイ・ヤング賞投手たちを、オリオールズがどうやって攻略するのか――。

 ア・リーグのディビジョンシリーズは、見どころ満載です。果たしてどんな結果が待ち受けているのか、短期決戦ならではの醍醐味を、ぜひとも堪能してください。

プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

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