新たな金字塔へ。ヤンキース黒田博樹、40歳の挑戦 (2ページ目)

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • photo by Getty Images

「強靭な体を持ち合わせていることもあると思うが、彼ほど研究熱心な投手はいない。そしてなにより、日本時代から積み重ねてきた練習量が今の彼を支えていると感じる。制球の良さも日本時代から基本練習を反復してきた賜物だろう」

 ヤンキースは2年連続で地区優勝を逃し、ワイルドカード争いからも脱落。早くも来季に向けての戦力整備の検討が始まった。米メディアは質の高い投球を続ける黒田を残留させるべきだと報じ、ヤンキースのブライアン・キャッシュマンGMも「我々には多くの選択肢がある。もちろん、黒田への残留要請もそのなかのひとつ」と、あくまで再契約を基本線に交渉していく予定だ。

 以前、9月7日にWeb Sportivaで掲載した「ダル発言から2カ月。メジャーで先発6人制が始まる!?」でも触れたが、ヤンキースは来季、先発6人制でのローテーションを検討しているという。

 今季、ヒザの手術を受けたC.C.サバシアは来季35歳となり、イアン・ノバはトミー・ジョン手術から復帰する予定。また、マイケル・ピネダも肩の手術を受けた過去があり、田中将大も右ヒジじん帯を部分断裂するケガを負った。いずれも、肩やヒジに不安を抱えており、「中4日」で回すよりは最低でも「中5日」以上の休養をとった方が故障再発のリスクは少ない。当然、来季40歳を迎える黒田にとっても、6人制ローテーションはヤンキースとの再契約を決断させる大きな理由になるのではないだろうか。

 先駆者である野茂英雄は日米通算3027回2/3を投げた。そして黒田はここまで(現地時間9月22日現在)3011回1/3を投げている。来季40歳になる黒田には、「先駆者超え」と「6年連続2ケタ勝利」という新たにふたつの金字塔が加わる可能性がある。

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