ダル発言から2カ月。メジャーで先発6人制が始まる!?

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • photo by Getty Images

 そして、4人制から5人制への変遷理由について、こう綴ってあった。

「More players spending time on DL」(故障者リスト入り選手の増加)

 今季、トミー・ジョン手術を受ける投手が急増している事実は、すでに誰もが知るところだ。また7月上旬に田中が右ヒジを痛めた際、レンジャーズのダルビッシュ有は「中4日は絶対に短い。1試合に120球、140球を投げても、登板間隔を空ければじん帯の炎症もクリーンにとれる」と、6人制ローテーションを必死に訴えた。

 そのダルビッシュでさえ、8月13日にヒジの炎症を訴え、故障者リスト入りしている。進化し続けるトレーニング。その代償として、投手の体は悲鳴をあげているのだ。

 余談ではあるが、ヤンキースのロスチャイルド投手コーチは、タンパベイ・デビルレイズ(現タンパベイ・レイズ)の初代監督にもなった人物だが、1986年にシンシナティ・レッズの投手巡回コーチに就任して以来、関係者の間で投手コーチとしての手腕が高く評価されている。そのロスチャイルド投手コーチは、ローテーションが4人制から5人制に移り変わっていった90年代にこんな言葉を残している。

「昔と比べて、ストライクゾーンがまったく違う。その時代と今の時代を比べるのは投手にとってストレスが多すぎる。投手の負担は確実に増えている。投手の健康を守らねばならない」

 先述したように、今季ヤンキースはノバが手術、田中もヒジを故障し、戦線離脱を余儀なくされた。そうした経緯もあり、先発6人制をとる可能性は十分に考えられる。そして、それは確実に来季への布石になるに違いない。これまでの先発ローテーションの変遷を知り、6人制ローテーションは近い将来、現実のものとなると感じた。

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る