【MLB】C・カーショウの「投手3冠」を阻むのは誰だ?

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by AFLO

 そんな彼が今シーズン、ついに悲願の初タイトルを奪取できるかもしれません。現在、36本塁打は2位のアンソニー・リゾ(シカゴ・カブス)と6本差、102打点は2位のエイドリアン・ゴンザレス(ドジャース)に10点差をつけています。このまま順調にいけば、本塁打王・打点王の2冠も夢ではありません。

 スタントンの魅力は、なによりホームランの飛距離です。メジャーでは450フィート(約137.1メートル)以上というのが特大ホームランと呼ばれるラインなのですが、今シーズン、スタントンは450フィート以上のホームランをすでに6本打っています。一見、137メートルというのは短いように感じますが、メジャーのホームラン平均飛距離は395.2フィート(約120.4メートル)。推定距離でなく実測距離で、メジャーの重たいボールをそこまで飛ばすのは至難の業です。もちろん、スタントンの平均飛距離はメジャー1位です。

 8月11日、スタントンは通算13回目のマルチホームラン(1試合2本塁打以上)を記録しました。これは、25歳未満で記録した回数としては現役で2番目に多いものです。ちなみに現役選手の中では、アレックス・ロドリゲス(ニューヨーク・ヤンキース)が25歳までに14回ものマルチホームランを記録しています。スタントンの通算13回は、マーリンズの球団新記録です。これらの記録を見ても分かるように、24歳のスタントンはまだまだ進化中といえるでしょう。今シーズン、本塁打王や打点王のタイトルを獲れば、今後さらに大化けしそうな予感がします。

 28歳のクエト、26歳のストラスバーグ、そして24歳のスタントン――。メジャー屈指の実力を誇る投打の若手が、ついにタイトルを手にするかもしれません。もしそうなれば、今シーズンはメジャー史におけるターニングポイントとなるのではないでしょうか。

※成績は9月3日現在

プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

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